日刊ゲンダイ 2000年 10月 11日号
PRKで本当に視力は戻るのか
近視矯正手術が話題になっている。簡単な手術で不便なメガネやコンタクトからおさらばできるというのだから、近視に悩む人にとって、こんな朗報はない。手術が初めて紹介された17年ほど前、日本中に一大センセーションが巻き起こったのも当然のことだろう。
しかし、「近視矯正手術は危ないのでは」という漠然とした不安がいつまでもあるのも事実。屈折力を変えるため手術は目の角膜にメスで傷をつけたり、レーザーで角膜を照射したりする。視力を戻すためとはいえ角膜をあえて傷つけるのだから、万一失明したらと考えるのも無理はない。
これまで多くの近視矯正手術を手掛けてきた参宮橋アイクリニック五反田院長・奥山公道医学博士はいう。
「技術は進歩していますし、近視矯正手術はこれからは身近になり、常識になるでしょう」
奥山院長はロシアのフイヨドロフ博士によりRK手術を受けた最初の日本人だ。当時内科医だった奥山院長は自らの体験から眼科医となり、以来17年間わが国で矯正手術を手掛け、1万例以上の実績を持つ治療のパイオニアである。最初のころはダイヤモンドメスを用いたRK手術。レーザーメスによるPRK手術を実施していたが、どうしても目を切ることに抵抗を感じ、「切らずに治す」ことはできないかと研究・開発したのが独自のPRKという方法だった。
「従来のPRKはレーザーメスで角膜の表面の中央を一部除去し平面化させ近視を改善するものでした。だが機種によって角膜表面に幾何学的に模様が残ることがあったのです。また、最近注目されているLASIKはカンナのようなもので角膜をはがすように切る。その刃が鈍い場合、振動で微妙なうねりが発生するケースもあり、後に乱視になることもあるのです」(前出・奥山院長)
そこで奥山院長が開発したのが、メスやカンナによる除去作業はいっさい行わず、目に触れず最初からレーザーのみを使う方法。これが最大の特徴。患者はレーザー光源を30秒前後擬視しているだけでいいのだ。
レーザー光源を30秒前後凝視するだけ・・・
「目に特別なメスやカンナを入れるとなると恐怖感がある。ところが、私の手術は目に触れずに進め安心感を与えることができるのです。この方法はレーザーの照射を微調整しながら角膜の表面を蒸発させ、コンタクトレンズ状にします。これで屈折力を変え焦点を合わせることができるのです。結果、0.03が0.7、0.07が1.0といった具合に93%以上の確率で患者さんの希望する視力に矯正することが可能です」
しかし、PRKにデメリットがないわけではない。角膜表面の治癒に2-3日を要し、術後の痛みが1-2日間ある。視力の安定に1-3カ月かかるので、忙しい人は一考を要する。白内障、緑内障といった目の病気を持
つ人は手術不可。また、保険適用外で片目だけでもおおよそ30万円と高額だ。
米国では近視手術を受けている人が年間34万人以上。海の向こうでは近視矯正手術は常識になりつつあるのだ。近視大国のニッポン。近視は切実な問題でもある。
ここはじっくり考えて判断したい。
●問い合わせ=参宮橋アイクリニック
03-3411-0005