1983年より近視手術専門医院・切らないレーシック
(旧 参宮橋アイクリニック)
レーザー機械の照射方式の違いが、レーシックとパーク近視手術を生み出した
フラップレスと一般のレーシックの最大の違いは、使用するレーザーにあります。
米ソのハイテク競争は、宇宙開発分野だけでなく近視レーザー手術の開発分野にも及んでいました。宇宙開発と近視手術といえば、ハイテクノロジーの象徴と言えるのではないでしょうか?
現在使用されている宇宙ステーション“ミール”は旧ソ連の技術により支えられたロシア製です。東大外科医の先生が、宇宙飛行士として、ロシア製の宇宙船“ソユース”で、宇宙の旅に出て、無重力下で骨密度の研究をしておられます。当院の手術も、ロシアの技術によって支えられています。
1970年代、近視手術用のエキシマ・レーザーはロシアのノーベル物理学賞受賞のN・バーソフ博士に開発され、ロシアは独自のレーザー機械の開発に取り組んできました。
太いビームの一括照射方式は、米国の旧タウントン社(後のS社)製と、ロシア、フィヨドロフ研究所のプロファイルシリーズがありました。米国方式は、セントラルアイランドと呼ばれるレーザー照射中央部分に削り残しが、照射時に立ち昇る蒸散気流により発生するため、開発を途中で断念し細い走査ビームに特化することで、レーシックの道が開けました。当時、PRKは、葬られたとの情報すら流れました。
「近視のレーザー治療」矢作徹著(1999年 旭書房)より
一方、ロシア方式は、バージョンアップし、削り残しを解決しました。原理が、米国式と異なり、媒体を介してレーザー照射する為、立ち昇る蒸散気流の影響を受けず、セントラルアイランドに悩まされることなく、引き続きPRKの開発が進み、パーク近視手術となりました。
(参照:用語集「太いビーム」「プロファイルシリーズ」)
太いビームと細いビームの違い
パーク近視手術用の太いビームは、三次元照射に相当します。アインシュタイン理論の「時間」という因子を掛けあわせて、四次元立体照射による、非球面である角膜の多焦点矯正が可能になりました。
▲単焦点性の角膜
▲パーク近視手術施術後の多焦点性の角膜
右の図は、パーク近視手術施術後の多焦点性の角膜解析図です。
中央の黒点は、瞳孔の中心を示し、周辺の薄緑色の部分は屈折力がやや強く、手元の字の見やすさを、また青色の部分は、屈折力が弱く、遠くの見やすさを確保しています。調節負荷が少なく、眼精疲労が起きにくいです。
左の図は、コンタクトレンズを装着した、平面的な単焦点性の角膜解析図です。
全体が青色で遠方の見やすさ専用です。40歳を境に、遠見に合わせたコンタクトレンズをしていると、目が疲れる、肩が凝る、頭が重いなどの症状を訴える人がいますが、調節力の衰えによると考えられます。
▲太い立体エキシマレーザービームを用いたパーク近視手術は、エネルギー分布がスムーズです
▲結果、角膜の蒸発面は平滑、かつ多焦点で老眼が早まることはありません
太いビームの発生源と細いビームの発生源の比較(参考イメージ)
プロファイル シリーズに使用されているレーザー発生源(オレンジ色)
一般のレーシックに使用されているレーザー発生源(灰色)
太いビーム
太いビームはパーク近視手術で使用され、一括照射します。
レーザーエネルギーの発生装置が、大規模な事により、高出力を得られますが、多量のガスを消費します。自動車のエンジンに例えるならば、フェラーリ級に相当します。
太いビームによる近視手術における角膜矯正は、光化学作用のもとに行われ、「蒸散もしくは蒸発に近い」作用なのです。眼球を固定した状態での一括蒸散なので、照射ズレが起きにくい状態です。立体蒸散の結果、多焦点性の屈折矯正面ができます。
細いビーム
細いビームは通常のPRKやレーシックに使用され、走査照射します。
小規模なでレーザー発生装置により、低出力ですが、ガス消費量が少量で済みます。自動車のエンジンに例えるならば、軽自動車に相当します。
細いレーザーによる近視手術における角膜矯正は、走査照射による「角膜を削る」作用なのです。走査切削の結果、単焦点性の屈折矯正面ができます。
走査切除は、パターンを自在に変化させることにより、不正乱視や収差の補正が可能です。反面、走査して角膜を削るため、目の動きによる削りムラが生じると、不正乱視の原因になります。細心の注意で眼の動きを追う装置が開発され、眼球の動きを、上下左右、奥行き、回転方向の6方向を追尾する最新の機械なども販売されています。
細いビームは、パワーが弱く、照射時間を短縮する必要があり、照射前に邪魔な上皮をこすり落とすか、カンナをかけてドア状のフタを作ります。
パーク近視手術の手術の様子
一般のレーシックの手術の様子
パーク近視手術と一般のレーシックの合併症と後遺症の比較
合併症と後遺症の違いは、こちらをご覧ください。⇒ 合併症と後遺症の違い
■病名<症状> | パーク近視手術 | レーシック | |
---|---|---|---|
合併症 | ■角膜刺激症状 | × | ○ |
<まぶしい・涙が出る・痛み・異物感> | 必ず起こる。 | 起こる人も、起こらない人もいる。 | |
■ヘイズ(一過性角膜上皮下混濁) | ○ | ○ | |
<角膜のにごり、近視の戻りを含む視力低下> | 術後にMMCを塗布することで、予防される。 | 起こらない。 | |
■術後の角膜細菌感染症 | ○ | △ | |
<痛み・視力の低下> | まれに起こるが、治療がしやすい。 | まれに起こるが、治療がしにくい。 | |
※角膜のフタを再びめくらなければならないので。 | |||
■術後の過矯正 | △ | ○ | |
<一過性の遠視状態> | 強度近視でない場合は、1~2週間で治る。 | 強度近視でない場合は、角膜の再生に時間を必要としない。 | |
強度近視の場合は、1~3ヶ月で治る。 | 強度近視の手術は対応していない。 | ||
※レーザーを当てた角膜の表面が再生することで、自然に回復する。 | |||
■術後の不正乱視 | △ | ○ | |
<一過性の矯正視力の低下> | 強度近視でない場合は、1ヵ月程度で治る。 | 強度近視でない場合は、角膜の再生に時間を必要としない。 | |
強度近視の場合は、3~9ヶ月で治る。 | 強度近視の手術は対応していない。 | ||
※レーザーを当てた角膜の表面が再生することで、自然に回復する。 | |||
■レグレッション | △ | △ | |
<矯正した近視の戻り> | 戻りが起こることがあるが、6ヶ月以降に手術が可能。 | 戻りが起こることがあるが、角膜にメスやレーザーを入れてフタを作る手術のため、1、2回までしか再手術はできない。 | |
再手術は、原則的に角膜の厚さが一定量あれば、何度でも可能。 | |||
合併症が後遺症に、 移行するケース |
■グレア | △ | △ |
<夜間のライトのにじみ> | レーザー照射径が6.7ミリ以上なので、夜間の瞳孔径よりも大きいので、強度近視でない場合は、3ヶ月程度で自然に治る。ただし、強度近視の人は、6~18ヵ月で治る。 | レーザー照射径が6.7ミリ以下なので、夜間の瞳孔径よりも小さい場合が多く、後遺症となる場合がある。 | |
■ドライアイ | ○ | △ | |
<眼の渇き> | 3~6ヵ月合併症として見られる場合があるが、自然に治る。 | 後遺症となる場合がある。 | |
※フタを作る際に、角膜の神経を遮断するので。 | |||
後遺症 | ■角膜拡張症 | ○ | △ |
<強い乱視・不正乱視の発生による視力低下> | 約5万件に1例の割合で、角膜移植を必要とする。 | 約2500件に1例の割合で、角膜移植を必要とする。 | |
■網膜剥離・網膜出血 | ○ | △ | |
<視野の一部が、欠損する> | 特に増えないと思われている。 | フタを作る時に、眼球を圧迫することで、増えると思われる。 | |
■層間性角膜炎(DLKまたは、サハラ砂漠砂嵐症候群) | ○ | △ | |
<眼のかすみ、視力低下> | 起きない。 | フタの下の原因不明のにごりにより、かすんで見える。 | |
■飛蚊症の増加や後部硝子体剥離 | ○ | △ | |
<眼の前に、糸くず、黒い点が見える、部分的にレンズが曇ったような見え方> | 特に増えないと思われている。 | フタを作る時に、眼球を圧迫することで、増えると思われる。 | |
老眼が早まる傾向 | ○ | × | |
<遠方はよく見えるが、余分な調節作用が強いられるため、読書がつらくなったり、眼が疲れる> | 早まらない。 | 早まる。 | |
※太いレーザーが照射面を、多焦点に仕上げるので、年齢制限は特にない。しかし、老眼にならないということではない。 | ※細いレーザーでは、照射面を単焦点に加工してしまうので、40歳以上で強度近視に近い場合は、再考を要する。 | ||
フタの不出来による乱視等の発生 | ○ | △ | |
起きない。 | フタが取れたり、フタにしわが寄ったりすることで、起こる。 | ||
○の数 | 9 | 4 | |
△の数 | 4 | 9 | |
×の数 | 1 | 1 |
視力矯正手術