■太いレーザーボリュームビームを角膜表面に直接一括照射するレーザー手術です。サーフェスアブレーション(表層性照射方式)の典型です。太いレーザービームのお陰で角膜の上皮と実質の違いを確認する事が可能なので、角膜表面に直接ワンステップ照射が出来るのです。
■照射方式をハード面で分類すると太いビームと細いビームに分かれます。
1.太いビームはレーシック・フラップレスで使用され、一括照射です。
大規模なレーザーエネルギーの発生装置を有し、多量のガスを必要とします。
自動車に例えるならばフェラーリ級エンジンに相当します。
一括照射によるレーザー角膜屈折矯正術における角膜形状の偏平化は、光化学作用のもとに行われ、(細いレーザービームの際の走査照射による「角膜を削ったり」「切除,切開したり」する作用でなく、)「蒸散もしくは蒸発に近い」作用なのです。この作用が、屈折矯正面の多焦点性にかかわるのです。
2.細いビームは通常のPRKやLASIKに開発され、スキャン・走査照射です。コンパクトで、レーザー発生装置用のガス消費量が少量で済み、走査パターンを自在に変化させることにより不正乱視や収差の補正が可能です。反面、走査して角膜を削るため、目の動きによる削りムラが不正乱視の原因となりかねません。細心の注意と最新の追尾装置が必要です。
細い走査ビームの照射時間を短縮する為に、照射前の処置が必要です。
前処置とは、角膜上皮に対し“上皮をこすり落とす行為”であったり、マイクロケラトームと呼ばれるカンナ用の器具で“上皮とボーマン膜をドア状のフタを作り、中に閉じ込める行為”であったり、あるいはカンナの代わりに“フェムトセコンドレーザーによってフタを作る行為”です。
ドア状のフタを開いて角膜実質を削りフタを元に戻す事により視力の回復が早い、術後の痛みが少ない、小規模レーザー機器で済む等、のメリットを得ました。
しかしフタを作る行為は、広口のマヨネーズビンにカンナでフタを作って開口したに際、ビンの口がバラケル現象を惹起させることがあり、角膜が弱まり、角膜拡張という合併症の報告が欧米で2500例に1例程度あります。
角膜拡張症の多くは、重い後遺症として角膜移植につながります。
レーシックで対応出来ない薄い角膜、強度近視には、レーシック・フラップレス や”サーフェスアブレーション・PRKが採用されます。