2000年、厚労省が細いエキシマレーザービーム(以下、「細いビーム」)を照射する、国産二デック社製器械EC-500スキャンをPRK用に認可した。弱いエネルギーによる「細いビーム」を照射する場合、角膜表面を切削と表現する。細いビームは角膜表面の凸凹を切削し、不正乱視の矯正に力を発揮する。けれど、弱いエネルギーを補うため、削り始めの対象を角膜実質とする必要が生じた。つまり、照射前に邪魔な角膜上皮の処置が要求された。通常のPRKは上皮を擦り落とし、レーシックはドア状のフタを作る。前処置は様々なリスクを抱える。
ロンドンのウィリアム・ジョリー医師は、レーシックに次の様な警告(角膜拡張症)を発する。
『平均550マイクロンの厚みのある角膜に、160マイクロンのフタを作ってレーシックを行った場合、近視度-4Dなら角膜実質を更に50マイクロン削らなければならない。近視-7Dなら120マイクロン削ることになる。-4Dなら角膜強度が38%弱くなる。-7Dなら角膜強度が51%弱くなる。従って、全てのレーシック患者の角膜実質は大なり小なりの脆弱化により将来、術後の心配の種をかかえる。レーシックの生みの親、パリカリス医師自身(ギリシャ)ですら最近はフタを作るレーシックから、薄いフタのエピレーシックを採用する。』(「Journal of Refractive Surgery」 Volume20 Number3 May/June 2004 P286 Corneal Ectasia After LASIK William Joly, London, Englandより)
国内において、レーシック後に角膜拡張症を合併し、角膜移植に及んだ症例報告が既にある。(参照→第24回眼科手術学会総会)フタを作る細いビームでは、矯正対象である角膜実質の一部がフタにつき、薄い、偏平な矯正面が切削創出され、遠見専用、調節負荷がかかる近視矯正になる。PRKでも、「細いビーム」を使用する場合、角膜におけるレーザー浸達の視認がしにくく、ワンステップ照射は困難である。