武蔵岡診療所 42 周年に寄せて
武蔵岡診療所はおかげさまで42周年を迎えることができました。
これもひとえに地域の皆様のご支援と信頼の賜物であり、心より感謝申し上げます。
診療所の設立背景と診療内容
当診療所は、地域医療の充実を目指し、地域住民の健康を支えるために開設されました。
特に、高齢化が進む団地内の住民の皆様にとって身近な医療機関として、小回りの利く外来診療を中心に、内科・消化器科・眼科など幅広い診療を行っています。
当院の特色の一つとして、苦痛の少ない内視鏡検査を導入しています。「鼻からの内視鏡(経鼻内視鏡)」「寝ながら受けられる内視鏡」など、患者様の負担をできる限り軽減する工夫を凝らしています。
また、近年の国民的課題である視力低下の問題にも力を入れ、特に子どもや大学生の近視対策に重点を置いています。
近視対策の重要性と経済的メリット
日本では、子どもの約3人に1人が視力0.1未満となっており、特に大学生の近視率は年々増加しています。
コンタクトレンズの使用が一般的ですが、月額5,000円とすると年間60,000円の費用がかかり長期間使用すれば経済的な負担も大きくなります。
一方、当院では近視矯正学割手術(両眼で100,000円)を提供しており、長期的なコストパフォーマンスを考えると経済的な選択肢の一つとして有益です。
診療所の今後の展望
団地の高齢化が進む中、診療所の継続的な発展には新たな患者層の開拓が不可欠です。
そのため、近隣の大学生を対象とした近視治療や眼科診療の普及を図り、診療所の役割を拡大していきます。
また、リピーターの少ない手術治療においては、効率的な設備活用を進めながら、地域社会に貢献することを目指します。
さらに、国や市民が医療費負担の増大に直面している中で、診療所の経営を安定させるためには、特色ある医療の継続が鍵となります。
内視鏡検査や近視治療といった当院の強みを活かし、地域医療の要としての役割を果たしながら、経済的にも持続可能な形で発展していきたいと考えています。
今後も、武蔵岡診療所は「身近で頼れる医療機関」として、地域の皆様の健康を支えるべく努力してまいります。どうぞよろしくお願い致します。
ICL眼内レンズが 米国スター社により2025年3月29日朝日新聞閉じ込み前面に広告されました。
ICL眼内レンズ は1990年代、フィヨドロフ博士が開発した虹彩と水晶体の隙間にレンズを差し込み、近視等の矯正手術に使用する「目の中のコンタクトレンズ」です。
米国スター社が博士の特許を取得しました。
博士は60年代、白内障用眼内レンズを開発、多くの眼科医が博士に教えをこいました。
70年代、ダイヤモンドメスによる角膜放射状切開RK手術で近視、乱視の治療を開始、1,000,000人とも言われる患者様が手術を受けました。
80年代からエキシマレーザー手術、2000年にフェムトセカンドレーザー手術を始めました。
レーザー手術はレーザーで角膜の形を変えますが、IC Lは目の中にレンズを入れて近視、遠視、乱視を矯正します。
手術の選択は、リスク、効果、近視等の程度、そして費用で異なるでしょう。
25年前、当院の最強度近視の患者様にフィヨドロフ博士がICLを勧めました。眼内レンズによる矯正精度が高い事は理解しておりましたが、
感染による万一の眼内炎による失明リスクや白内障の合併、緑内障の合併などを懸念した記憶があります。
最近のICLレンズは小さな穴を設けて合併症を防ぐ工夫がされている様ですが大丈夫でしょうか。
米中の近視手術の大半はレーシックかスマイルで、毎年800,000件程度、IC Lは数%と聞いています。
一方、日本の近視手術数は銀座レーシック事件を境に、2009年の最大年間800,000件から年間10,000件以下に減少しました。
特筆すべきはわが国の近視手術の総数は減少しているのに、ICL手術は増えていることです。フィヨドロフ博士先見の明でしょうか。
レーザー近視手術減少の主な原因は経済面が大きいようです。近視手術はリピーターが少ない手術です。にもかかわらず使用する医療機械が設備を含めて1億円とも言われております。
わが国の医療機械メーカーは10年ほど前にこの分野から撤退し、国産はありません。輸入機械や使用するネオンガスがウクライナ戦争や円安の影響で高価になった反面、手術料金が過去20年据え置きです。
眼科医は技術料確保のため、高価な機械やガスよりもICLレンズにシフトしたと言われますが、レンズも高価ですので、真実は定かでありません。
いずれにしても、屈折矯正手術がフィヨドロフ博士のPRKに始まり、ICLに到達したのは興味深いことです。
薄い角膜、強い近視の手術にIC L眼内レンズ手術または切らないレーシックPRKが有効であるのは間違いないようです。
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