「第28回ヨーロッパ白内障・屈折手術学会」
2010年9月4日~8日の第28回欧州白内障及び屈折手術学会に参加してきました。
「PRK25周年、LASIK20周年」を記念した各種の講演が行われました。「フィヨドロフ博士記念講演」も併せて行われました。今日のレーザー近視手術の普及を、盛大にお祝いしました。
参宮橋アイクリニックとしてのe-ポスター発表は、「ブロード(太い)ビームを使用したT-PRKでマルチ屈折矯正面を創出」という演題でした。
屈折矯正手術を私自身が受けて、27年が経過し、マルチビジョンのお陰で遠見、近見伴に普段の生活に便利をしているので、屈折矯正手術は20年後を見すえて実施しましょうという主旨でした。
初期のRKは角膜に対して一定の深度で切開を加えました。角膜の厚さは中央が薄く、周辺にかけて厚くなっているので、将来的に屈折力の変化にグラデーションがもたらされてマルチフォーカルな屈折面が創出されたのです。
一方、後期のRKは切開深度を角膜の厚さに適合させツーからスリーステップにした為グラデーションが失われ、通常のコンタクトレンズやレーシック後の矯正面の様にモノフォーカルとなっていたのです。
モノフォーカル場合40歳過ぎの患者さんや、強度近視を矯正した後の場合、遠方視力が優先される矯正面が創出されるので調節力の負担が大きく、眼が疲れやすい、眼が乾きやすい、頭痛がする等々のいわゆる不定愁訴が出現する場合があります。
近い将来角膜屈折手術は全てマルチフォーカルな屈折矯正面を創出するようになるでしょう。
ただしレーシックというフラップを作ってレーザーを当てる方法においては、矯正面を形成するノリシロがフラップにより薄くなり、マルチ面が作りにくいのでレーシックフラップレスに回帰する可能性が大きくなります。
フラップを作ることによる合併症のリスクは小さいとはいえ、合併症が起きてしまった患者さんにとっては重大な問題なのです。
合併症のリスクだけでなく、フラップレスなら再手術を行ないやすいという利点もあるのです。
■屈折矯正面は多焦点性が望ましいのです。
多焦点性は、角膜表面の3D立体蒸散により得られます。
OS図は、中央の○である瞳孔を中心に青、黄緑、黄色の屈折力の弱い順に,遠く、中
間、近くが見やすくなっています。
調節の負荷が軽く、老眼を迎える40歳前後の方に向いています。
一方、単焦点性は、スキャンビームにより削る事でもたらされる、屈折矯正面です。
単焦点性は、OD図の様に全体に屈折力の弱い青一色で表現され遠見を確保します
が、中間距離や近見は、調節が働き、その負担が大きくなります。