1984.2.15 日本医師会雑誌 第91巻 第4号 より抜粋
■対談/ラジオたんぱ「医学講座」
近視手術における放射状角膜切開術
金井 淳(順天堂大学医学部眼科) 百瀬 皓(臨床眼科研究所)
金井 きょうは近視の手術、すなわち放射状角膜切開の手術についていろいろと百瀬先生にお話をお伺いしたいと思います。
先生、特にDr.Fyodorovとは友人だそうですけれども、この方法についてひとつご意見をお伺いしたいと思います。
百瀬 この手術は日本で生まれまして、先ほど先生は昭和34年とおっしゃいましたけれども、佐藤教授は、最初のリポートは昭和14年にお書きになっておられるのですね。それで、非常にその歴史の古い手術で、日本で生まれた手術です。
しかしながら、コンタクトレンズの出現とともに、この手術は日本で行うことは中止されまして、長い間忘れ去られていたわけでございます。
ところが、そのソ連のDr.Fyodorovが昭和47年に、角膜をメガネのガラスで多数切って怪我をした少年を診まして、その角膜の傷が治ったころには、今度は近視自体も治ってしまったということを発見し、この佐藤先生の方法を再確認いたしまして、さらに近代的な方法でやろうということでやられました。
アメリカへは今から5年前に、ボーレスというドクターがこの術式を紹介いたしまして、現在ではソ連とアメリカで非常に広く行われております。確かにこの手術では少なくとも5.0ジオプトリー前後近視を減らすことができますので、これ以外にしか方法がないというような症例には、やってみて興味のある方法ではないかと考えております。