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2005年9月22日 朝日新聞  生活 やりくりナビ より

 近視矯正手術

手術の実績比較 
 知り合いが近視の矯正手術を受けたという、さいたま市の斎藤美紀さん(39)から「インターネットで調べると値段に差があるようですが、何が違うのでしょう」という質問が寄せられました。昨年は約6万件の手術が行われたとされています。いくらぐらいかかり、何を基準に病院を選べはいいのか、調ペてみました。
(山田史比古)

 茨城県土浦市の岡本健太郎さん(35)は先月、近視の矯正手術を受けた。
 高校生のころからメガネをかけていたが、度が進んで裸眼視力は右目009左目0・03に。独立行政法人で化学を研究しているが、実験の時、メガネの上に目を保護するカバーをかけなけれはならない。カバーは重く、メガネは曇ったり、ずり落ちたりで、仕事に支障が出ていた。
 受けた手術は、角膜の表面を薄くめくり、下の層にレーザーを当てて角膜を削って、表面を戻す「レーシック」という手法だ。両目で42万円の手術費のほか、事前の検査や術後の診察、目薬代などが計1万円ほどかかった。以前から矯正手術に関心を持ち、「もう少し一般的になって安全性が高まるまで待とうと、様子を見ていました」という岡本さん。費用は少しずつためていた。
 ネットで手術の実績などを比べ、東京都内の病院を選んだ。半日がかりで角膜の厚さや眼庄などを検査して手術の説明を受けた。数日後にあった手術は両目で30分もかからなかった。
 手術直後は視界がぼやけていたが、約1時間後に裸眼視力が0・9になった。1カ月後の検査では1・5に。まだ裸眼に慣れないのか、たまに焦点があいにくい以外、痛みなどはない。「仕事の能率が上がりました。高いとは思いません」
 東京都葛飾区の会社員、木村奈央さん(24)が手術を受けたのは今月中旬。強い近視で、ふだんはコンタクトレンズ、目が痛いときはメガネを使っていた。
 仕事で1日中パソコンを使うため、メガネだと頭が痛くなる。コンタクトを長時間使うと目に悪いとも聞いた。角膜の表面をめくるのは不安だったが、「目が見えるようになるのならと手術を受けた。手術には八十数万円かかった。「メガネやコンタクトでも長い間使えば数十万円になる。思い切って貯金を使いました」

 
40万〜50万円が中心
 目に入る光を角膜や水晶体が屈折させすぎるなどで焦点が網膜手前にずれる。これが近視だ。日本人の2人に1人は近視とされる。
 70年代から角膜に切れ目を入れ、眼庄による角膜の変化で屈折力を弱める「RK」という矯正手術が行われてきた。その後レーザーで角膜の表面を削る「PRK」、さらにレーシックと手術法が開発されてきた。今はレーシックが主流になっている。
 日本眼内レンズ屈折手術学会の木下茂理事長(京都府立医大教授)は「メガネなどで生活に支障がなければ手術の必要はありません」。しかし、2000年に2万件だった手術件数は年々増え、05年には7万件に上ると推測されている。
 手術費が高いのは、保険診療の対象外だから。両目で40万〜50万円を中心に、20万円前後から90万円近くまで、病院によってかなり差がある。
 眼球の形やゆがみなど個人差にあわせてレーザーを当てる機械などの性能や手術方の違いなどが、手術費に差が出る理由のようだ。
病院の多くはホームページで手術件数を公開している。しかし実際に執刀している医師は「一部には誇張もあります。費用だけで選ばず、複数の病院で説明を聞くことをお勧めします」と話す。
 医療訴訟に詳しい眼科医によると、効果がない、光がまぶしくなったなどとして、患者が病院側を訴える裁判が少なくとも年数件は起きている。
「訴訟にまで発展しないトラブルも相当あるはずです。説明も検査もろくにせず、いきなり手術するところは危険ですよ」

 本文中の木下理事長によると、軽い角膜炎や、角膜に凹凸ができることによる乱視などが起こる可能性は、矯正の過不足も含めて約1%。一方、過去の統計では、軽い近視なら9割の人が術後3カ月の裸眼視力が1.0以上、強い近視でも大半の人が0.5以上、約75%が1.0以上に回復している。
 実旛している各病院や、日本眼科医会(http://www.gankaikai.or/jp/)、
日本眼科学会(http://www.nichigan.or.jp/)のホームページで、手術について解説している。
 眼科学会のガイドラインでは、病院に対して専門医による十分な説明や、患者の同意を得て手術するよう求め、白内障の人、妊娠中の女性などへの手術を禁じている。


2005年(平成17年)9月22日 朝日新聞

 
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